心とからだをととのえる、禅と精進料理の旅——東京から1時間の飯能へ

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心とからだをととのえる、禅と精進料理の旅——東京から1時間の飯能へ
西部エリア 歴史的関心 自然

自然と調和した静けさに包まれる埼玉県・飯能市。ここはウェルネスな旅に興味のある人にとって理想的なウェルネスリトリートです。このエリアには、竹林と静寂に囲まれた「竹寺」や、緑深い山奥の「正覚寺」などがあり、この寺ではそれぞれ違った禅を体験することができます。

竹林に囲まれた境内で知る、禅の世界

「禅」は瞑想によって自己の本質と悟りを追求する禅仏教にそのルーツを持ち、6世紀に中国から日本へと伝わりました。特に武士階級にんじられた禅は、内面の強さと生きる目的を深める精神的支柱となり、茶道、華道、能楽、日本庭園、そして武道に至るまで、あらゆる伝統芸術に大きな影響を与えてきました。

禅の瞑想は、心を鎮め、深い内省を促すことで、ストレスの軽減や睡眠の質の向上など、現代人にも多くの恩恵をもたらします。「坐禅」と呼ばれる「座って行う禅の瞑想」では、静かに座り、自然な呼吸の流れに意識を向けながら、浮かんでは消えていく思考に支配されずにただ見つめることを学びます。自分の本質と向き合い、思い込みや固定観念から自由になることで、より穏やかで豊かな生き方へと導いてくれるのです。日本の精神文化の基盤の一つとなった禅は、今では精神的な癒しの力を求める世界中の人々にも人気となっています。

竹寺で出会う「吹禅」という体験

飯能市内から車で20~30分のところにあって、「竹寺(たけでら)」という愛称で親しまれるこの寺は、正式には「医王山 薬寿院 八王寺(いおうざん やくじゅいん はちおうじ)」といい、山岳信仰の聖地として1000年以上の歴史を誇ります。本尊は疫病除け・災難除け・福徳をもたらす「牛頭天王(ごずてんのう)」ですが、神仏習合の信仰が今なお息づく、東日本でも貴重な聖地のひとつです。

ここでは日々の喧騒を離れ、竹林の中で奏でられる尺八の音に耳を傾けながら禅の瞑想で一日を始めたり、繊細で滋味深い精進料理で心を満たしたり——ここにしかないフレッシュな体験をすることができます。

竹寺でひときわ印象的なのは、本殿へと続く参道の入り口に立つ、竹を模した銅製の両部鳥居と、そこに据えられた大きな”茅の輪”です。“神仏習合”の精神を視覚的にとらえられる珍しい場所となっています。訪れる人々はこの茅の輪をくぐることで、心身の穢れを祓い、清らかな気持ちで本殿へと向かうことができます。

飯能にある竹寺は、まだ広く知られていない隠れた名所のひとつです。春の新緑や秋の紅葉など、四季折々に表情を変える自然の美しさと、静かに佇む荘厳な佇まいが、訪れる人の心をそっと打つことでしょう。

尺八の音に心をゆだね整う時間——珍しい「吹禅」体験

その竹寺では、ほとんど知られていない珍しい「吹禅(すいぜん)」という禅の瞑想法を体験することができます。これは坐禅が座って行うのに対して、尺八を吹きながら内面と向き合っていくものです。竹に息を吹き込む事で、柔らかく無理のない、ゆったりとした呼吸が自然に身につくそうです。

この吹禅の体験は、国内外で吹禅の普及と著名な演奏活動をしている青山雅明(あおやま まさあき)氏の指導によって行われます。静かな山中の特別な空間で、唯一聞こえるのは竹林を渡る風の音と尺八の調べ。まさに心が解き放たれる瞬間です。

吹禅体験はまず、尺八についてのレクチャーから始まります。尺八の歴史や吹き方を学び、講師によるデモンストレーションで、実際にその癒しの音色を味わいます。その後は、竹林へと移動。ここでは、一般的な坐禅のように座るのではなく、自然の中を歩きながら尺八を奏で、呼吸と音と風景が一体になるひとときを過ごします。

精進料理で心も体も整える

吹禅を体験した後は、季節の素材をふんだんに使った精進料理で体の内側から癒しを。竹のお椀で美しく提供される料理には、タンポポやサツマイモの天ぷら、たけのこご飯など、

吹禅で心を整えたあとは、季節の食材を活かした精進料理で身体を優しくいたわりましょう。料理は美しい竹のお椀や器に盛りつけられ、季節や自然との一体感を味わう工夫が随所に施されています。タンポポやサツマイモの天ぷら、たけのこご飯など、驚きと優しさが詰まっています。旬の素材を活かした一品一品には、滋味深さとともに訪れる人へのおもてなしの心が込められています。

静寂に包まれる名栗の山寺・正覚寺で心癒される

飯能の街を後にして、バスで約40分。入間川の源流沿いを西へ進んだ先にある「正覚寺(しょうかくじ)」は、500年の歴史を持つ禅寺です都会の喧騒を忘れさせる涼やかな山の空気、豊かな自然に囲まれたこの寺では、宿坊に滞在して禅の修行体験を行うことができます。

1泊2日の宿坊体験を通して僧侶の修行を知る

正覚寺で行われる1泊2日の宿坊体験では、僧侶の修行の一端にふれる貴重な時間を過ごすことができます。

正覚寺で行われる体験はこんな内容になっています。

・典座料理(精進料理) 修行僧が口にする食事と同じ動物性の食材は不使用

※食事作法の解説付き

・朝夕2回の坐禅体験

・僧侶による法話(30分~50分を2回)

・寺での礼儀作法のレクチャー

・作務(掃き掃除、雑巾かけなど)

・悩み事相談

 

 

短時間で参加したい方には日帰りプランも用意されており、坐禅・写経・夕食の精進料理を楽しむことができます。また、昼食のみの精進料理体験(予約制)も可能で、短時間で手軽に修行の雰囲気を味わうことができます。

正覚寺で過ごす静かなひと時は、1泊でも日帰りでも、日常の喧騒から離れ禅文化を深く知る貴重な体験となるでしょう。

飯能は東京から1時間の自然と文化が息づく“みどりのオアシス”

埼玉県南西部に位置する飯能市は、池袋駅から電車でわずか約1時間。禅体験だけでなく、日々の喧騒を離れて心身を癒したい方にぴったりのアクティビティが充実しています。豊かな自然に囲まれた森では、ハイキングやグランピングが楽しめ、清らかな渓流では釣りやカヌーといった水辺のアクティビティも満喫できます。多彩な楽しみ方で、訪れる人それぞれの“癒し”に応えてくれる場所です。

自然を満喫する川遊びに、眺望抜群のハイキング、家族で楽しめる公園も

飯能駅から近い飯能河原では、夏になるとバーベキューや水遊びを楽しむ人々でにぎわいます。静かなハイキングを楽しみたい方には天覧山がおすすめ。なだらかな登山道を進めば、関東平野や東京のスカイラインまで一望できます。道中には、歴史好きに嬉しい羅漢像が並ぶ風景も。バスで「名栗湖」まで足を延ばし、「名栗渓谷」でハイキング・カヌー・キャンプを満喫するのもおすすめです。

Hanno Riverbank – picture cells / Shutterstock.com

森と湖に囲まれた、北欧のライフスタイルを楽しめる商業施設「メッツァビレッジ」には、ムーミンの世界観を再現した「ムーミンバレーパーク」があります。北欧の童話の世界が森と調和する「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」とあわせて、親子で過ごす休日にもぴったりです。

埼玉県飯能市で静寂に抱かれる

混沌とした日常生活から抜け出し、自然と伝統が調和する埼玉県飯能市の静謐な美しさを発見してほしい。緑豊かな風景や古刹の中で五感を目覚めさせ、日本の風習に触れ、本物の禅の時間を体験しよう。

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